- 老後に向けた正しい資産運用がどのようなものかを知りたい人
- なぜ人間が資産運用に失敗するのかがわかる
- お金と、さらには人生とこれまで以上にしっかり向き合うきっかけ
今回読んだ本は、柴山和久氏著書『元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法』です。
著者の柴山和久氏はウェルスナビ代表取締役CEOで、金融のプロフェッショナル。会社名でもある「WealthNavi(ウェルスナビ)」とは、長期・積立・分散の資産運用を自動でしてくれるロボアドバイザーというシステムです。これをプログラミングを一から学び、ひと月である程度完成させたということですから、本当に才能と努力家だということが分かります。経歴も凄いんです。
私はこの本を読んで柴山氏が伝えたかったことは、ウェルスナビの理念でもある、
「働く世代に豊かさを」
だと感じました。
働く世代、多くの日本人は何かしら働いているわけですが、なぜ働くのでしょう。一つは当然お金を得るためですよね。ではそのお金で豊かさを感じているでしょうか。そもそも豊かさとはどういった状態なのでしょう。マイホームがあることが豊かさでしょうか。海外旅行に行くことが豊かさでしょうか。著者は一言、「自由」という言葉で表しています。満員電車に揺られながら朝から晩まで働くこともお金を得る1つです。しかし働くことによってやりたいことができない状態があるとしたらそれは自由とは呼べません。もちろん、お金がなくても自由を感じることはできます。ただ自分にとって願望を満たすものがお金を必要とすることもあるでしょうし、そもそもお金で時間を確保することができます。自分自身の欲求を満たすだけのお金はあるべきではないでしょうか。そしてお金があればやりたいことが増えるのも事実だと思います。
「一人ひとりがお金と向き合い、自由を得て、願いをかなえていくことで、社会はきっとよくなる。」この著者の想いを会社の理念とし、本でもいちばん伝えたかったことだと感じました。「資産を増やす」選択肢を知ってもらう。そうすることで日本をもっとよくしていきたい。お金に対する日本人の認識をポジティブに、そして日本が豊かになっていく。資産を増やすための様々な手段の中の一つとして、今後はWealthNaviのような自動化があるのかなと思います。この本で「長期・積立・分散」の資産運用が日本で知られるきっかけになったはず。私自身試してみようかなと思いました。
【目次】
- 5つの失敗から学んだ投資の鉄則
- 時間と世界を味方につける資産運用とは?
- 日本の資産運用はガラパゴス化している
- 日本人が知らなかった“正しい”資産運用
- 人間の脳は資産運用に向いていない
- テクノロジーが実現する豊かな未来
- お金から自由になったら何をしたいか
書籍の見所をピックアップ
1. 失敗からの学び
どんなに優秀な方でも失敗があるのは当たり前。その失敗があるからこそ成功に結び付いているのだと思います。第1章では現在プロ中のプロの著者が過去にあった5つ失敗を公開してます。そしてそこから学んだことを教えてくれます。投資をした方なら必ず1つは失敗があります。ちなみに私も同じような失敗を3つして、そこから学びました。
「振り返ってみると、こうして小さな失敗を積み重ねたことは幸運でした。」
気づけたことは幸運だと思います。著者と同じように幸運を感じてみませんか。
2. 日本の資産運用
日本では、投資家はお互いの富を奪い合うゲームでしたが、今後は世界経済の成長がもたらすパイを分け合う資産運用となると書いてあります。長期、積立、分散という言葉が何度もこの本に出てきますが、今まで預金という考えしかなかった日本も新しいステージに進まざるをえません。その根拠が分かりやすく書いてあります。
3. 資産運用もAIの時代
資産運用はプロに任せる。ただそのプロも金融危機を予測することは難しいです。なぜなら未来のことは誰にも分からないですから。さらに人間が絡むといろんな感情が入ってきてカオス状態に陥ります。そんな中、時代と共に出てきたのがAIというテクノロジーです。判断をAIに頼ることでできるだけ安定的に資産を運用していこうということです。そのAIを使った資産運用の考え方を実際WealthNaviでどう活かしているのかを3つの視点から書いてあります。おもしろいのがアルゴリズムの内容を説明したホワイトペーパーという形で公開していることです。AIという分かったような分からないようなものを透明性を高くし、ユーザーの利益を第一に考えていることが分かります。AIを使った資産運営がどういったものなのか、まずはこの本で感じてみませんか。