日銀は長年続けてきたマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げを実施。一方、アメリカでは金融引き締め政策を緩和し、利下げ時期を探っている状況です。
日米の債券市場は世界中の投資家・トレーダーから注目されています。そこで、この記事ではトレーディングビューで日米の金利差や債券利回りを表示する方法を解説しています。
為替や株式市場との相関性を測るインジケーターも合わせてご紹介。トレーディングビューの使い方が分かれば相場分析の幅も大きく広がります。ぜひ参考にしてみてくださいね。
トレーディングビューで金利(債券利回り)を表示する方法
早速ですが、トレーディングビューで日本や米国の金利を表示する方法を解説します。
トレーディングビューのチャート画面左上のアイコンを選択し「ホーム」をクリック。
マーケットサマリーから「債券」を選びます。
ここでは日本、米国、ユーロ、イギリスなど主要国の債券利回りを簡単にチェックすることができます。
チャート左下の期間を変更すれば1カ月、1年、3年、5年などのスパンでどのように推移したのかを見れます。
また、個別で選択するとより詳細な情報も確認可能です。
上記は直近の債券利回りと債券価格になります。
メニューからはイールドカーブ(債券の利回りと償還期間との相関性を示したグラフ)も表示できます。
表示方法はもう一つあります。
ホーム画面上のメニューからマーケットを選択。「債券」から「全10年債」「主要10年債」「利回りヒートマップ」が表示できます。
トレーディングビューでは30カ国以上の10年債利回りが一覧で表示可能です。
どの国の金利が高いのか低いのかをソートで並び替えできるので非常に便利です。満期日や償還までの期間も確認できます。
利回りヒートマップは各国の1カ月物~30年物まで利回りを一覧で比較できる表です。
利回りが上昇すると緑色、下落すると赤色に変化します。時間の経過とともにどのように利回りが変化しているのかを直感的に捉えることができます。
満期日や利回りの大きさから投資する銘柄を選ぶ際にご活用ください。
別記事では、国内で債券の現物取引やCFD取引に対応している国内業者をまとめています。
SBI証券や楽天証券では米国債、日本債の現物が取引可能。IG証券ではCFD取引にて債券に投資が可能です。
特に、IG証券は日本国債や米国国債、さらに日本株・米国株の個別株式、ゴールドや原油などの商品銘柄まで口座1つで世界中の金融商品が取引できます。
トレーディングビューで金利をチャートに表示する方法
次は金利をトレーディングビューのチャートに表示させる方法です。
方法としては通常の銘柄表示と同じです。
ここで1つ知っておくと便利なのが「トレーディングビューの金利のティッカーは名称の付け方に法則性がある」という点です。
トレーディングビューの金利のティッカーは法則性がある
その法則性とは、【国名コード+年数+Y】がティッカーになるということです。例えば、アメリカの10年債利回りであれば「US+10+Y=US10Y」がティッカーです。
Yは「Yield:イールド(日本語で利回り)」のことです。Yが付いていると債券利回りを示し、Yを抜いた「US10」であれば米国の10年債価格のティッカーになります。
国名コードは「JP:日本」「GB:イギリス」「EU:ユーロ」「FR:フランス」「DE:ドイツ」など決まっています。国名コードは以下に一覧表をまとめているのでそちらでご確認ください。
注意点としては1年物や2年物は「US1Y」や「US2Y」ではなく「US02Y」「US01Y」になります。
ちなみに、「US01MY」にすると米国1カ月債利回りのティッカーになります。Mは「Month:1カ月」の略字です。
1カ月物は限りなく政策金利に近い水準の利回りになるため、必要であればご確認ください。
上記の法則でティッカーを入力し銘柄を選ぶかEnterを押すとチャートが表示されます。
このときスケールの設定で上記のようにチャートが表示される場合があります。
こんなときはチャート画面右下のアイコンにマウスを合わせて「A」を選択してみてください。
このAは「Auto:オート」のことでチャートを画面サイズに自動で合わせてくれます。
これで米国債10年物利回りが表示されます。日本債の場合も国名コードを変えれば同じ手順で表示が可能です。
5分足など短い時間軸で金利を表示させるとギャップが表示される場合があります。これは既発債と新発債を連続したチャートで表示させるための調整です。
既発債と新発債で別物が取引されているためTradingViewでチャートを見るときは債券価格ではなく利回りを見る方が正確です。
また、初期のチャート設定では利回りのチャートに上記のように点が表示されます。
これは公開された投資アイデアのマークです。
点を選択するとこの時点の公開アイデアを見ることができます。
有益な指摘を行っているアカウントもあるのでぜひ覗いてみてください。
不要な場合はチャート上で右クリック→チャート設定を開き「イベント」から「アイデア」のチェックを外せばマークを消すことができます。
トレーディングビューで表示できる債券利回り一覧(一部抜粋)
ティッカー | 名称(英語) | 名称(日本語) |
---|---|---|
US10Y | United States 10 Year Government Bonds Yield | 米国債10年物利回り |
JP10Y | Japan 10 Year Government Bonds Yield | 日本国債10年物利回り |
CA10Y | Canada 10 Year Government Bonds Yield | カナダ国債10年物利回り |
GB10Y | United Kingdom 10 Year Government Bonds Yield | イギリス国債10年物利回り |
DE10Y | Germany 10 Year Government Bonds Yield | ドイツ国債10年物利回り |
FR10Y | France 10 Year Government Bonds Yield | フランス国債10年物利回り |
ES10Y | Spain 10 Year Government Bonds Yield | スペイン国債10年物利回り |
IT10Y | Italy 10 Year Government Bonds Yield | イタリア国債10年物利回り |
CN10Y | China 10 Year Government Bonds Yield | 中国国債10年物利回り |
IN10Y | India 10 Year Government Bonds Yield | インド国債10年物利回り |
HK10Y | Hong Kong 10 Year Government Bonds Yield | 香港国債10年物利回り |
SG10Y | Singapore 10 Year Government Bonds Yield | シンガポール国債10年物利回り |
MY10Y | Malaysia 10 Year Government Bonds Yield | マレーシア国債10年物利回り |
ID10Y | Indonesia 10 Year Government Bonds Yield | インドネシア国債10年物利回り |
TH10Y | Thailand 10 Year Government Bonds Yield | タイ国債10年物利回り |
AT10Y | Austria 10 Year Government Bonds Yield | オーストリア国債10年物利回り |
AU10Y | Australia 10 Year Government Bonds Yield | オーストラリア国債10年物利回り |
BE10Y | Belgium 10 Year Government Bonds Yield | ベルギー国債10年物利回り |
BR10Y | Brazil 10 Year Government Bonds Yield | ブラジル国債10年物利回り |
CL10Y | Chile 10 Year Government Bonds Yield | チリ国債10年物利回り |
CO10Y | Colombia 10 Year Government Bonds Yield | コロンビア国債10年物利回り |
CZ10Y | Czech 10 Year Government Bonds Yield | チェコ国債10年物利回り |
DK10Y | Denmark 10 Year Government Bonds Yield | デンマーク国債10年物利回り |
EU10Y | Euro 10 Year Government Bonds Yield | ユーロ国債10年物利回り |
FI10Y | Finland 10 Year Government Bonds Yield | フィンランド国債10年物利回り |
GR10Y | Greece 10 Year Government Bonds Yield | ギリシャ国債10年物利回り |
HU10Y | Hungary 10 Year Government Bonds Yield | ハンガリー国債10年物利回り |
IS10Y | Iceland 10 Year Government Bonds Yield | アイスランド国債10年物利回り |
IE10Y | Ireland 10 Year Government Bonds Yield | アイルランド国債10年物利回り |
トレーディングビューで金利の相関性を見る方法
次は、債券利回りと他の銘柄の相関性を見る方法です。
ここでは一般的に相関性が高いと言われている米国10年債利回りと米ドル円の相関性を見る方法をご紹介します。
米国債10年利回りをチャートに表示させた状態で銘柄検索の右にある「+」アイコンを選択します。
「シンボルを比較」というポップアップが開くので、ここに比較したい銘柄のティッカーを入れます。
ここではUSDJPYと入力し新規ペインで開きます。追加の設定は「同じ%スケール」「新しい価格スケール」「新規ペイン」から選択できます。
追加すると利回りのチャートの下に米ドル円が表示されます。
チャートタイプはラインでもローソク足でもお好きなものを表示させてください。
チャートを重ねたい場合は米ドル円の銘柄表示にマウスを合わせて詳細アイコンを選択します。
「移動」から「上の既存ペインへ」を選択。
米国債10年利回りと米ドル円のチャートが重なります。
ここでは見やすいようにどちらもラインで表示させています。
ここから相関を数値で判断するために「CC:相関係数」というインジケーターを表示させます。
インジケーターの追加画面に「CC」を入力して、テクニカルから「CC(相関係数)」を選択。
相関を見たい銘柄のティッカーを入力します。
インジケーターとして相関係数が表示されます。
上記では見やすいようにヒストグラムで表示させています。
相関係数は0.7を超えると高い相関がある(価格が連動しやすい)と見ます。0.9を超えるとほぼ同じ動きになります。一方、マイナスになると逆相関(価格が反対に動く)の関係です。
期間にもよりますが、米国債10年利回りと米ドル円はやはり高い相関があることが分かります。
米国債10年利回りが上昇すると米ドル円も上昇する関係(米ドルが買われ円が売られる)です。こうした相関を数値で把握できるのが「CC:相関係数」のインジケーターです。
その他にも債券利回りと株価指数の関係やコモディティ(金や原油)の相関を分析しても面白いかもしれません。
相場分析の幅がぐっと広がるのでぜひお試しください。
トレーディングビューで金利差(スプレッド)を表示する方法
次は、金利差(スプレッド)をチャートに表示させる方法をご紹介します。
ここでは特に注目される米国の長短金利差の出し方です。長短金利差とは米国の10年債利回りと2年債利回りの差のことを指します。
金利差を出すにはトレーディングビューのカスタム計算式という機能を使います。
出し方といっても手順は非常に簡単です。
銘柄検索の画面を開き「US10Y-US02Y」と入力するだけです。数値の大きい方から小さい方を引き算します。
「US10Y-US02Y」と入力した状態でEnterを押すと米国の長短金利差のチャートが表示されます。
このチャートは金利差を示すため金利差が広がると上昇します。逆に金利差が縮まると下落し、マイナスになると長短金利差が逆転(逆イールド)していることを示します。
基本的に債券利回りは短期債よりも長期債の方が利回りが高くなります。長期債は短期債よりも償還まで長い期間があるため、その間の相場変動リスクを負うからです。
したがって、本来であれば長短金利差はプラスになるのが一般的ですが、この関係が逆転する場合があります。それが逆イールドです。
上記は2004年からの米国長短金利差を表示したチャートです。2008年に起こったリーマンショックの1~2年前に長短金利差が逆転しています。
2022年の新型コロナショック時も同じです。長短金利差がマイナスになるとその1~2年後にリセッション(景気後退)が来ると一般的に言われています。
実際にリセッションが来るのか、来ないのかは誰にも分かりません。しかしながら、こうした兆候を把握しておくことは重要です。
トレーディングビューのカスタム計算式はどの銘柄でも簡単に金利差(スプレッド)が表示できます。ただし、無料プランでは日足のみ(有料プランは時間足、分足も表示可能)なのでご注意ください。
2024年3月11日よりGMOクリック証券で米国国債(ストリップス債:2050年11月15日償還)の取り扱いが始まりました。
ストリップス債とはあらかじめ償還価格から一定率を割り引いた価格で販売され、満期日に額面金額100%が償還される債券です。
通常の利付債とは異なり保有期間中に利払いは発生しません(ゼロクーポン債)。一方、利付債と比べて販売価格が低く設定(販売単価約30%の場合=-70%割引)されているのが特徴です。
満期まで保有した場合、額面金額の100%で償還されるため購入価格と償還価格の差が利益(償還利益:販売単価約30%で購入した場合は残りの70%分が利益)になります。
購入後の途中売却も可能です。割引価格で購入するため途中売却でも売却益が発生する可能性も。2024年は米国で利下げ開始との見方が強まっていますが、金利低下局面では残存期間の長い債券が有利です。
GMOクリック証券は利払いのある通常の利付米国債の取り扱いもあるので、現物で債券に投資されたい方はGMOクリック証券をチェックしてみてください。