「CFD取引をしたいけどロスカットはどうなの?」「追証はあるの?」
この記事ではCFD取引に対応した国内業者のロスカットルールや追証について詳しく解説しています。
特に、GMOクリック証券は他社と異なり独自のロスカットルールがあるので、GMOクリック証券を中心に解説していきます。業者選びの参考にしてみてくださいね。
国内CFD対応のFX会社・証券会社のロスカット基準
CFD業者 | 追証 | ロスカット・追証基準 | 公式サイト |
---|---|---|---|
GMOクリック証券 | あり | 自動設定のロスカットレートに現在値が到達した場合 追証:毎営業日の取引終了時点で証拠金維持率が100%未満 | |
IG証券 | なし | 常時判定:証拠金維持率が75%以下になった時点 東京定時:証拠金維持率が100%未満 | |
楽天MT4CFD | なし | 証拠金維持率が100%以下になった時点 | |
外為どっとコム | なし | 証拠金維持率が100%以下になった時点 プレアラートメール:証拠金維持率が200%を下回ったとき アラートメール:証拠金維持率が120%を下回ったとき | |
GMO外貨 | あり | 自動設定のロスカットレートに現在値が到達した場合 | |
ヒロセ通商 | なし | 証拠金維持率が100%以下になった時点 アラートメール:証拠金維持率が200%を下回ったとき |
CFDのロスカット(強制決済)について
ロスカット(強制決済)は簡単にいうと「元金以上の損失が発生しないように事前にポジションを解消する仕組み」です。
CFD取引はレバレッジをかけるため入金額以上の損失を出す可能性があります。滅多に起こることではありませんが、相場は何が起こるか分かりません。
「○○ショック」など数年に1度起こる相場の急激な変動で数百、数千pipsの値動きが一瞬にして発生する場合もないとはいえません。そこで、万が一、そういった事態が発生した場合に備えてロスカットルールがどの証券会社でも定められています。
一般的なロスカットルールは証拠金維持率が100%
一般的なロスカットルールは証拠金維持率が一定の基準(100%)を下回った場合に強制的にポジションが決済されます。
「証拠金維持率が100%を下回る=余力資金(評価損益を含む総額)がポジションを建てるための必要証拠金を下回る」ということです。
【例:入金額100万円、必要証拠金30万円の場合⇒余力資金70万円(100万円-30万円)、このとき評価損益が-70万円になるとロスカット】
ロスカットがいつ適用されるかは業者によって異なります。100%下回った時点ですぐに執行される場合もあれば、判定時刻(取引終了時など)に適用される場合もあります。以下で各社のロスカットルールについて解説しています。
また、GMOクリック証券やGMO外貨(外貨ex CFD)はロスカットルールとは別に追証(追加証拠金制度)も用意されています。
追証(追加証拠金制度)は強制決済を防ぐ仕組み
「追証」は追加の証拠金を入金することで強制決済が執行される前に証拠金維持率を回復させる仕組みです。
GMOクリック証券のCFD取引では証拠金維持率が100%を下回った場合、追証と判定されます。追証と判定された口座は新規注文および振替出金が制限されます。
追証を解消するには解消期限までに追加の入金もしくは追証が発生した口座のすべてのポジションを決済する必要があります。解消期限までに追証が解消されない場合は、該当口座のすべてのポジションが強制決済されます。
「じゃあ、追証のない業者の方がいいんじゃない?」と思われた方もいるかもしれませんが、追証はあくまでも強制決済を防ぎ、想定外の損失が出ないようにするための仕組みです。
追証がない業者は証拠金維持率が規定水準を下回った場合、すぐにポジションが解消されます。GMOクリック証券では追証の解消期限(追証発生日の翌営業日(祝日を除く)午前3:00)まではポジションが決済されません。
不用意な強制決済を未然に防ぐことができるメリットがあります。また、追証が発生したからといって必ず入金しなければいけないわけではありません。あくまでも強制決済までの猶予があるということです。
国内のCFD業者では多くのCFD業者が「追証なし」となっています。どちらもメリットとデメリットがあるので業者選びの参考にしていただければと思います。
もっとも、ロスカットや追証が発生しないようにポジション管理・資金管理をすることが一番大切ですね。
GMOクリック証券CFD取引のロスカットと追証
GMOクリック証券のCFD取引では他社と異なったロスカットルールがあります。それが「セーフティバルブシステム(S.V.S)」です。
通常、ロスカットは該当口座の全建玉を対象とします。口座全体の維持証拠金率が基準を下回った場合にポジションがすべて強制決済されるか、100%を回復するまで決済されます。
このルールでは含み益のあるポジションまで決済されたり、取引時間外の銘柄がロスカット判定時のレートと乖離したレートで強制決済されるデメリットがあります。
そこで、GMOクリック証券では「ポジションごとにロスカットレートが自動で設定される仕組み」を採用していす。
GMOクリック証券のセーフティバルブシステム(S.V.S)
セーフティバルブシステムはポジションを建てる際に自動計算されたロスカットレートが設定されます。
設定されたロスカットレートを割り込むと自動的に該当のポジションのみが決済される仕組みです。口座全体のポジションが強制決済されることはありません。
また、これは損切りのための逆指値注文とは別です。ロスカットレートよりも浅い逆指値注文を入れている場合は先に逆指値注文が執行されます。
ロスカットレートは新規約定時の約定価格と、ロスカット幅をもとに計算されます。具体的に見ていきます。
GMOクリック証券の公式サイトにログインし「CFD」から「インフォメーション」を選択します。
ここに銘柄ごとに設定されたロスカット幅が表示されています。
【例:金スポット1ロットを2125.6で新規買い、ロスカット幅:51ドル⇒ロスカットレート:2074.6(=2125.6-51)】
計算方法は上記の通りです。ロスカット幅は毎週金曜日に翌週適用分が更新されます。
買いポジションであれば約定レートからロスカット幅を引いた数値がロスカットレートです。売りの場合はロスカット幅を足します。
金スポットであれば約定レートに対して±2%ほどの位置がロスカットレートになります。このロスカットレートは変更することも可能です。
GMOクリック証券のロスカットレート変更方法
ロスカットレートの変更は「建玉一覧」から行います。
ポジション一覧の「ロスカットレート」から「変更」ボタンを選択。
「一括変更」と「変更」の2つがあるのでどちらかを選びます。
任意のロスカットレートを入力します。先に解説しましたが、このレートは損切りの逆指値とは別です。
ロスカットレートを損切りに利用することもできますが、逆指値を別に指定したい方は逆指値よりも深いレートを指定しておきましょう。
設定したレートに応じて任意証拠金が表示されます。この任意証拠金を追加の証拠金として差し入れることでロスカットレートを広げることができます。
実行するとロスカットレートが変更されます。拘束証拠金は「必要証拠金+任意証拠金」の合算です。
この金額が証拠金維持率として計算されます。
証拠金の余力はインフォメーションの隣にある「余力確認」がチェックできます。
この画面でCFD各口座の証拠金維持率や余力情報を確認できます。
また、次に解説する追加証拠金情報もここで確認可能です。
GMOクリック証券CFD取引の追証について
GMOクリック証券のCFD取引ではポジションごとにロスカットレートが設定されますが、それとは別に口座全体の証拠金維持率が100%を下回った場合に追証が発生します。
追証の注意点は以下の通りです。
証拠金維持率(時価評価総額÷必要証拠金×100)が100%を下回るとき追証
追証の判定はCFDの各口座ごとに行われる
追証の判定は、祝日を除く毎営業日の取引終了時点。取引時間終了後1時間程度で完了
追証の解消方法は追証発生日の翌営業日(祝日を除く)午前3:00までに入金、もしくは、追証が発生した口座の全ての建玉を決済する
解消期限(追証発生日の翌営業日午前3:00)までに解消しない場合、該当口座の全建玉が強制決済される
GMOクリック証券では、追証が発生すると必要証拠金の不足額を入金するか該当口座のポジションをすべて決済しなければいけません。
ロスカットと異なるのは「該当口座のポジションがすべて決済される」という点です。ロスカットでは該当ポジションのみですが、追証が発生すると追加の入金をしなければ含み益が出ているポジションも決済されるのでご注意ください。
そして、追証の判定は取引口座ごとに行われます。追証が発生した口座では新規注文および振替出金が制限されます。
さらに詳しい追証の条件やルールに関しては公式サイトをご確認ください。
GMOクリック証券は他社と比べると手厚いサポート体制が敷かれています。仕組みは少し分かりにくいですが、これも相場の変動が激しいCFDだからこそのシステムです。
追証やロスカットの仕組みを理解した上で、余裕を持った資金を入金しポジション管理を徹底すれば安心して取引できる証券会社です。
楽天証券(楽天MT4CFD)CFD取引のロスカットと追証
楽天証券では「楽天MT4CFD」と「楽天CFD」という2つのCFD取引サービスがあります。ここでは楽天MT4CFDの追証とロスカットについて解説しています。
楽天MT4CFDはその名の通り、取引ツールにMT4(メタトレーダー4)が利用可能です。MT4でCFD取引ができる国内業者は珍しく、FXと合わせて多彩なCFD銘柄を取引できます。
もちろん、自動売買にも対応しているのでMT4でCFD取引をしたいという方には最適です。
楽天MT4CFDでは追証がありません。証拠金維持率が100%を下回った時点で損失の大きい建玉から順番にロスカット(強制決済)されます。
ロスカットは証拠金維持率が100%を上回るまで続けられるため含み益があるポジションも必要に応じて対象となります。楽天証券のCFD取引では一般的なロスカットルールが適用されるということですね。
追証の仕組みがないためポジション管理には注意が必要です。
IG証券CFD取引のロスカットと追証
国内No.1のCFD取扱銘柄数を誇るのがIG証券です。IG証券では17,000種類以上のCFD銘柄を取り扱い。株価指数、商品、債券、個別株、ETFまで世界中の金融商品がIG証券の口座1つで取引できます。
IG証券CFD徹底特集!スプレッドから手数料、取引時間まで解説!
そんなIG証券では、「常時判定」と「東京定時」という2種類のロスカットルールがあります。
IG証券のロスカットルール(常時判定)
常時判定は証拠金維持率が75%以下になった時点でポジションが決済されるルールです。GMOクリック証券や楽天証券と比べると常時判定の基準は少し低いのが特徴です。
証拠金維持率が100%よりも低いということは「他社と比べてポジションが決済されにくい=含み損が増える可能性がある」ということです。
これもメリットとデメリットがあります。証拠金維持率が100%を下回った時点で決済されればそれ以上の損失は出ませんが、逆にそこから値動きが反転し含み損が減る可能性を逃します。
そもそも、証拠金維持率が100%を割る前に損切りを行うべきではありますが、IG証券ではこういったルールであるという点にご注意ください。
IG証券のロスカットルール(東京定時)
もう一つのロスカットルールが東京定時です。これは毎営業日の午前11時時点で証拠金維持率が100%未満の場合にポジションを強制決済するルールです。
つまり、最低ラインは証拠金維持率75%、毎日午前11時には100%以上でなければならないということですね。
保有中の銘柄が午前11時点で取引できない状態(取引時間外など)の場合は、取引再開後にロスカットが実施されます。東京定時とロスカット実施時点のレートが乖離する場合もあるのでご注意ください。
IG証券では予約注文の取消し→保有ポジションの決済という順番でロスカットされます。複数ポジションがある場合、取引時間外の銘柄は清算されずその次に古いポジションが清算されます。
マージンコールは証拠金維持率が100%を下回った時点でIG証券から送られてくる注意喚起のメールです。1日1回だけ送信されるため、マージンコールを受取ったらすぐに口座状況を確認しましょう。
常時判定では証拠金維持率が75%を下回るまでは強制決済されません。追加で入金を行い証拠金維持率を回復するか、ポジションを自分で解消するか、値動きが反転するまで耐えるかといった選択肢があります。
どちらにしても、東京定時までには証拠金維持率を100%以上にする必要があります。繰り返しにはなりますが、証拠金維持率が100%以下にならないようにポジション管理・資金管理をすることが大切ですね。
外為どっとコムCFD取引のロスカットと追証
これまでFXとバイナリーオプションを中心にサービスを提供してきた外為どっとコムでもCFD取引がスタートしました。
主要な株価指数と商品銘柄、そしてアップルやテスラ、エヌビディアといった個別株にも対応しています。老舗のFX会社として培ってきた高品質な取引環境を提供してくれます。
外為どっとコムが『CFDネクスト』をスタート!取扱銘柄やスペックは?
外為どっとコムのCFD取引でも追証なしのロスカットルールが採用されています。
他のCFD会社と同じように証拠金維持率が100%を下回った時点で順次ロスカットが行われる仕組みです。
外為どっとコムのロスカットも口座ごとに判定が実施されます。指数口座、商品口座、株式口座の3つで証拠金維持(有効比率)が計算されます。
マージンコールはプレアラート(証拠金維持率が200%を下回った時)とアラート(証拠金維持率が120%を下回った時)の2回です。
外為どっとコムはカスタマーサポートも手厚いので気になることがあれば電話やフォームで問い合わせしてみてください。丁寧に対応してもらえます。