今、世界では現金を使わないオンライン決済が主流になりつつあります。現金主義の根強い日本では、まだまだ諸外国と比べて普及率は低い水準ですが、スマホ決済を始めとした各種決済サービスは注目を集めています。
そんなオンライン決済、クレジットカードの業界で革新的なサービスを提供しているのが「マルケタ(Marqeta)」です。この記事では、マルケタの事業内容から決算情報、株式の買い方まで詳しく解説。
「米国株で注目の銘柄が知りたい」「米国のフィンテック企業に投資したい」という方は銘柄選びの参考としてご活用ください。
Marqeta(マルケタ)とは
マルケタはクレジットカードの発行や決済手続を最新の技術を使ってサポートしている米国のフィンテック企業です。
マルケタの特徴は「オープンAPIでカード発行業務をサポートしている」という点です。
金融業界のオープンAPIとは、これまで銀行が担ってきた業務とデータ管理を外部の企業でもアクセス可能にするシステムのことをいいます。APIは「Application Programming Interface」の略で、特定のアプリケーションの機能やデータを他のアプリケーションから利用できるようにするためのシステム、仕組みのことです。このAPIを外部に公開することをオープンAPIといいます。
現在、多くのカード会社が使っているカード発行技術は40~50年前から利用されているタンデムやIBMのシステムを改良したものです。
この古いシステムを根本から再構築し、全く新しいオンライン決済システムをサポートしているのがマルケタという会社です。
主な顧客は、ブロック(旧スクエア)、アファーム、ウーバー、ドアダッシュなど超一流のオンライン決済企業ばかり。マルケタはこれら注目のフィンテック企業の裏でシステムの根本部分をサポートしています。
創業は2010年、現CEOでもあるジェイソン・ガードナー氏により設立されました。ジェイソン・ガードナー氏は9歳からパソコンに触れ、若いころから小さな会社をいくつも経営してきたシリアルアントレプレナー(連続起業家)です。
システム構築に2年半を費やし、その後、既存の銀行や大手カード会社にネットワークを作る営業活動に奔走。顧客となるフィンテック企業とのパイプを作った上で創業し、2021年6月9日にナスダックへ上場を果たしています。
マルケタの会社概要
企業名 | Marqeta Inc |
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本社所在地 | 180 Grand Avenue 6th Floor Oakland, CA 94612 USA |
設立年月日 | 2010年 |
代表者 | Mr. Jason Gardner |
業種 | IT・通信(IT&communications) |
上場日 | 2021年6月15日 |
市場 | NASDAQ |
ティッカー | MQ |
従業員数 | 509人 |
マルケタの特徴と強み
銀行ではない企業でもクレジットカードが発行できる
マルケタの最大の特徴は「銀行以外の企業でも用途に合わせたクレジットカードが発行できる」という点です。
クレジットカードの発行は金融監督局からの規制と監視が厳しく参入障壁が高いため、VISAやMastercardなど国際ブランドが独占していた業界です。
したがって、小売店でクレジットカードを使う場合であれば、店舗側は商品を売る毎に手数料を支払わなければならず、ブランドの選択余地も乏しい状況でした。
この点、マルケタのシステムを利用すれば、銀行ではない企業でもクレジットカードの発行が可能です。
利用金額の上限を決めたプリペイドカードや口座から直接引き落とすデビットカード、1回きりの使い捨てクレジットカードなどもその場で発行ができます。
融通の利かない既存の決済システムではなく、顧客の要望に応じた柔軟なカード発行プラットフォームを運営しています。
オープンAPIで利用用途を自由に設計できる
マルケタのシステムは最新のプログラミング言語で記述されたオープンAPIを利用しており、顧客がカードのスペックを自由に設定できます。
宅配サービスを提供しているドアダッシュでは、宅配員1人1人にデビットカードを配布し商品の受け取り時の決済や給与の支払いに利用しています。これにより、必要最低限の運転資金で営業することが可能。
その他、アファームの分割払い(クレジットカードの与信審査無しで利用できる)やブロックのCash App(スマホ1つで銀行口座と同じ機能が使える)など自社サービスに応じたカード設計が簡単にできるようにしています。
この既存のクレジットカードにはない柔軟性が評価され、提携企業が続々と増えている状況です。
顧客が超一流で成長性が抜群
今までの大手カード会社は主に銀行向けにカード発行を提供していましたが、マルケタはカードを発行して顧客を取り込みたい会社すべてがターゲットになります。
現在、最も主要な顧客はブロックです。直近の売上高では73%がブロックからのものであり、1社に依存している点はリスクとも言えますが、ブロックが2021年8月に買収すると発表したオーストラリアのアフターペイやスウェーデンのクラーナの決済システムもマルケタがつとめています。
同じくメイン顧客であるアファームは、2021年8月にアマゾンとの提携を発表しました。ちなみに、アファーム、アフターペイ、クラーナはBNPL業界の3強といわれています。
さらに、2021年7月29日、グーグルペイがマルケタのバーチャルカードを採用するという発表がありました。マルケタのシステムを使うことによって、消費者はオンラインと実店舗の両方でグーグルペイが使えるようになります。
マルケタの収益源は、同社のサービスを使ったカード決済に伴う利用料です。カードのユーザー数が増え、決済総数が増えるほど売上が上がる仕組みです。つまり、オンライン決済が浸透すればするほど業績も伸びる形となります。
オンライン取引の成長性
一度オンライン決済取引を経験したユーザーは、その利便性の高さから、元の決済手段にもどることはほぼありません。今回の新型コロナ感染症による非接触型決済の拡大も後押しとなりました。
オンライン決済は米国を中心とした先進国だけでなく、南米や東南アジアの国々にも広がってきています。
特に、最近の一番の注目点は「BNPL(By Now Pay Later)」と言われる後払い決済システムです。クレジットカードのような厳しい与信審査無しで分割払いサービスを提供するBNPLによって消費意欲の盛んな若い世代の取引も活発になってきています。
提携企業の増加とオンライン決済の浸透はそのままマルケタの収益に繋がります。マルケタは既存の銀行システムを根本から革新していく可能性を秘めた注目のフィンテック企業です。
マルケタの今後の見通し、展望
マルケタはクラウド上に構築されたカード発行システム(オープンAPI)を提供しています。
従来のクローズ型からオープンにすることによって、フィンテック企業やネット企業はその機能を自社サービスとして組み込む事ができます。これが、大手カード会社と銀行を震撼させた革新的なシステムです。
マルケタの競合会社として最近急成長のストライプがあげられますが、マルケタはカード発行にこだわっているニッチな企業という点で差別化ができています。
アマゾンやグーグルなどの大手IT企業との協業や、名だたるオンライン決済会社との契約も素晴らしいですが、マルケタはビザやマスターカードと言った大手カード会社とのパートナーシップも持っている会社です。
現在、36カ国でサービスを展開しており、3.2億枚のクレジットカードやデビットカードの発行をサポートしています。ユーザー数は毎期着実に延びている状況です。
マルケタの一番の強みは、顧客の成長と収益が同じく自分たちのものになるという収益の構造にあります。また、カード発行システムの構築には高い技術力と資金が必要なため、参入障壁が高いビジネスです。
今後の決済業界の変革と進化になくてはならない裏方であるのは間違いないでしょう。
マルケタ株の買い方、購入方法
マルケタは米国のNASDAQ(ナスダック)に上場している米国株式です。マルケタ株の買い方としては、米国株式の取り扱いがあるネット証券会社を利用するのが一般的です。
国内ではDMM 株、楽天証券、SBI証券、マネックス証券がマルケタの現物取引に対応しています。
このいずれかの証券会社でアカウントの開設を行い(アカウント開設は通常2~3日で完了します)、購入資金を入金します。提携銀行を利用したクイック入金やネットバンキングを利用すれば最短即日で資金が反映されます。
開設時に設定したログインIDとパスワードで公式サイトから取引画面にログイン。マルケタのティッカーは【MQ】なので、米国株式の銘柄検索で「MQ」を検索します。
取引画面が開くので買い注文を選択。後は、取引数量・注文方法・執行条件・決済方法を選択すればマルケタの現物株式を購入することができます。
米国株式は日本株式と違い1株単位から取引が可能です。
マルケタの現物株式を購入するなら楽天証券が要チェックです。
楽天証券はここ数年で口座開設数を急激に伸ばしている証券会社。楽天カードや楽天銀行との連携でお得に米国株式が購入できるサービスが人気を博しています。
楽天銀行との連携(マネーブリッジ)では、証券口座への資金移動が自動で完了する自動スイープや銀行預金の優遇金利、楽天カードの決済で楽天ポイントが貯まるなど楽天証券ならではのサービスが受けられます。
米国株式にも非常に力を入れており、随時キャンペーンを行っています。マルケタの株によりお得に投資されたい方は楽天証券をぜひチェックしてみてください。
短期間で大きく利益を狙うならCFD取引
米国株式には現物取引の他にも、CFD取引(株式CFD)という取引方法があります。
CFD取引とは、差金決済取引のことで現物株式をやり取りせず、売買差益のみをやり取りする取引方法です。マルケタの株式CFD取引では最大5倍レバレッジや売りから取引に入る(空売り)ことが可能。
現物取引と比べて5分の1の資金でマルケタの株を購入できるため、資金効率を飛躍的に高めることができます。もちろん、レバレッジをかける分だけハイリスクハイリターンの取引となる点にはご注意くださいね。
CFD取引については、別記事でも解説しているので気になる方はご一読ください。
マルケタ株のCFD取引では、IG証券、サクソバンク証券の2社が対応しています。
以下に各社の比較表と簡単な証券会社の解説をしているので、気になる証券会社があればチェックしてみてください。
マルケタ株の現物/CFD取引対応業者一覧表
業者名 | 取引手数料 | 銘柄数 | 特徴 | 公式サイト |
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IG証券 | 2.2セント/株 | 約17,000種類 | 収益ベースでCFD世界No.1(※) 取扱銘柄数でも国内トップクラス | |
サクソバンク証券 | 無料 | 約9,000種類 | 多彩な銘柄とプロ仕様の本格ツール TradingViewとの口座連携も可能 |
※IGグループの財務情報より(2022年10月時点、FXを除いた収益ベース)
IG証券は国内でも貴重なマルケタのCFD取引に対応した証券会社です。
IG証券の特徴はなんといっても「17,000種類以上のCFD銘柄が取引できる」という点。マルケタをはじめとした米国株式はもちろん、世界各国の株式/ETF、株価指数、商品、債券まで対応しています。
これだけの銘柄が取引できるのは国内でもIG証券だけ。IG証券の口座が1つあれば大抵の金融商品は取引ができます。
取引ツールもこだわりが詰まった秀逸なPCツールとスマホアプリの2種類を配信。本格的な相場分析も可能です。
「マルケタの値動きを短期で狙いたい」「CFD取引にもチャレンジしてみたい」という方はIG証券をチェックしてみてください。