破壊的イノベーションに特化したETFで全世界の投資家から注目を集めているARK社。2021年3月30日、ARK社は新しいETFとして「ARKX」をリリースしました。
ARKXのテーマは「宇宙関連事業」です。ここでは、ARKXの概要から構成銘柄、取引に対応している証券会社まで徹底解説しています。
ARKX(宇宙探査イノベーションETF)とは
ARKXは「宇宙探査」に関して、将来的に世界をリードする企業や関連技術の開発を行う企業、宇宙探査によって利益を受ける企業を厳選したETFです。
ARKでは宇宙探査に関して、関連する企業を4つのグループにカテゴリー分けしています。
Orbital Aerospace Companies:惑星軌道上での衛星やロケットの打ち上げ、製造、サービスの運用を行う企業
Aerospace Companies:現状では惑星軌道上での運用に必要な速度に達していない企業
Enabling Technologies Companies:宇宙探査に必要な技術開発を行う企業
Aerospace Beneficiary Companies:航空宇宙活動の恩恵を受ける企業
この4つのグループの中から今後、業界をリードするであろう銘柄を独自のリサーチ手法で選別しています。ARKXの構成銘柄には、現時点では十分な収益を上げていない企業、決算で赤字を出しているような企業も含まれます。
ARKは現時点での業績やパフォーマンスで企業を評価するのではなく、数年先を見据えたとき業界に破壊的イノベーションをもたらすかどうかに注目しています。この独自のリサーチ手法がARK ETFの大きな特徴です。
また、ARKXには一見、宇宙関連とは思えないような企業も組み込まれています。これは、将来的な宇宙産業の発展によって利益を受ける企業をピックアップしているからです。
人工知能、ロボット工学、3Dプリント、エネルギー貯蔵など現代ではかつてないほど複数のイノベーションが同時進行しています。ARKはこれらの同時進行しているイノベーションがシナジーを起こし、破壊的なイノベーションが生まれると考えています。
その影響力は宇宙産業だけに留まるものではありません。このような観点からARKXの銘柄は選定されており、これからどのようなパフォーマンスが出るのか注目が集まります。
ARKXのファンド詳細
ティッカー | ARKX | ファンドタイプ | アクティブETF |
---|---|---|---|
一次取引所 | Cboe BZX Exchange | 設定日 | 2021年3月30日 |
純資産額 | ‐ | 経費率 | 0.75% |
構成銘柄数 | 40~55 | マネージャー | キャシー・D・ウッド |
ARKXの構成銘柄について
次は、ARKXの構成銘柄について解説していきます。全構成銘柄の一覧、企業規模比率、グループ別比率などをグラフで掲載しています。どのような銘柄が組み込まれているのか、確認する際にご活用ください。
ARKXの構成銘柄比率(2021年4月7日時点)
ティッカー | 企業名 | 構成比率 |
---|---|---|
TRMB | トリンブル・ナビゲーション | 8.93% |
PRNT | The 3D Printing ETF | 6.09% |
KTOS | クラトス・ディフェンス・アンド・セキュリティー・ソリューションズ | 5.88% |
LHX | L3ハリス・テクノロジーズ | 4.98% |
JD | JDドットコム | 4.75% |
6301 | 小松製作所 | 4.41% |
LMT | ロッキード・マーチン | 4.4% |
IRDM | イリジウム・コミュニケーションズ | 4.31% |
HO | タレス | 3.96% |
BA | ボーイング | 3.49% |
NVDA | エヌビディア | 3.4% |
SPR | スプリント・エアロシステムズ・ホールディングス | 3.13% |
DE | ディーア | 3.05% |
AMZN | アマゾン・ドット・コム | 3.04% |
GOOG | アルファベット | 2.93% |
TER | テラダイン | 2.9% |
TDY | テレダイン・テクノロジーズ | 2.54% |
DSY | ダッソー・システムズ | 2.53% |
GRMN U | ガーミン | 2.03% |
SPCE | ヴァージン・ギャラクティック・ホールディングス | 1.92% |
RAVN | レーベン・インダストリーズ | 1.89% |
AIR | エアバス | 1.62% |
BABA | アリババ・グループ・ホールディング | 1.54% |
AVAV | エアロバイロンメント | 1.51% |
ESLT | エルビット・システムズ | 1.45% |
NFLX | ネットフリックス | 1.29% |
HEI | ハイコ | 1.14% |
HON | ハネウェル・インターナショナル | 1.08% |
WKHS | ワークホース・グループ | 1.04% |
TSM | 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング | 1.02% |
TCEHY | テンセント・ホールディングス | 1.01% |
ANSS | アンシス | 1.01% |
XLNX | ザイリンクス | 1.01% |
SNPS | シノプシス | 1% |
ADSK | オートデスク | 0.81% |
3690 | メイトゥアン | 0.7% |
RTP | リインベント・テクノロジー・パートナーズ | 0.7% |
ACIC | アトラス・クレスト・インベストメント | 0.7% |
– | モルガン・スタンレー | 0.61% |
ARKXの構成銘柄は上記の通りです。構成比率のトップは全地球測位システム(GPS)開発会社のトリンブルですね。8.93%の構成比率となっています。
2位はARKのインデックスETFである3DプリントETF、3位は米国の軍事製品開発、サービス提供を手掛けるクラトス・ディフェンス・アンド・セキュリティー・ソリューションズです。
日本企業では6位に小松製作所(6301)がランクインしているのも注目ですね。
ARKXの企業規模比率
時価総額規模 | 構成比率 |
---|---|
Mega(1000億ドル以上) | 31.9% |
Large(100億ドル~1000億ドル) | 38.3% |
Medium(20億ドル~100億ドル) | 18.3% |
Small(3億ドル~20億ドル) | 10.3% |
Micro(5000万ドル~3億ドル) | 0.0% |
上記のグラフはARKX構成銘柄を企業規模(時価総額)で分類した際の比率です。時価総額1000億ドル以上、100億ドル~1000億ドルの企業群で全体の約7割を占めているのが特徴です。
また、時価総額3億ドル以下の企業はARKXには組み込まれていません。
ARKXのグループ別構成比率
グループ | 構成比率 |
---|---|
Orbital Aerospace | 28.6% |
Suborbital Aerospace | 5.6% |
Enabling Technology | 24.9% |
Aerospace Beneficiaries | 39.7% |
上記はグループ別の構成比率になります。
宇宙探査に実際に携わる企業群が約6割、航空宇宙活動によって恩恵を受ける企業が約4割といった構成です。
もっとも、この中にイーロン・マスク氏の「スペースX」やジェフ・ベゾス氏の「Blue Origin」といった企業は含まれていません。
ARK ETFは上場企業のみを対象としているため、今後、これらの本命ともいえる企業がいつ上場するのかにも注目が集まります。
ARKXのセクター比率
セクター | 構成比率 |
---|---|
通信サービス | 9.2% |
一般消費財 | 13.4% |
資本財 | 47.0% |
情報技術 | 21.5% |
その他 | 8.8% |
セクター別ではボーイングに代表される資本財が約4割以上を占めています。次点で、情報技術セクターが約2割という構成比率ですね。
ARKXの地域別比率
地域 | 構成比率 |
---|---|
北米 | 73.2% |
西ヨーロッパ | 10.2% |
アジア太平洋地域 | 13.9% |
アフリカ/中東 | 1.5% |
地域別では北米が約7割以上と圧倒的な比率を占めています。ARKXを購入するということは、基本的に米国企業へ投資を行うということになります。
ARKXの買い方、購入方法について
ARKXを含めたARKのETFは基本的に国内の大手ネット証券会社(SBI証券、楽天証券など)では取り扱いがありません。日興アセットマネジメントがARK社と提携しており、ARK社から助言を受けた投資信託を販売しています。
ARKXを直接購入する方法としては、海外ETFの取引に対応している外資系のネット証券会社を利用する方法があります。国内では、サクソバンク証券とIG証券がARK社のETFを取り扱いしています。
もっとも、IG証券に関してはARKXの取引不可(取引ツール上では表示可能)である点にご注意ください。以下では2社の概要を紹介しているので業者選びにご活用ください。
ARKXを取り扱いしているネット証券会社、国内業者
比較項目 | ![]() |
---|---|
取引方法 | 現物/CFD |
ARK対応銘柄 | ARKX、ARKK、ARKG、ARKW、ARKF、ARKQ、IZRL、PRNT |
手数料 | 取引金額×0.2% |
最低手数料 | USD5 |
銘柄取扱数 | 約12,000種類 |
取引上限 | 銘柄による |
取引時間 | 23:30-6:00 (夏時間22:30-5:00) |
最低入金額 | 10万円以上 |
公式サイト | ![]() |
※サクソバンク証券のARKXは現物取引のみ対応。
サクソバンク証券:【現物取引/CFD取引】
サクソバンク証券はARKシリーズのETFが購入できる貴重な国内業者です。ARKXをはじめとしたARKシリーズ8銘柄が直接取引できます。取引方法は現物取引とCFD取引の両方に対応しています(ARKXは現物取引のみ対応)。
サクソバンク証券はデンマーク・コペンハーゲンに本社を構えるサクソバンクグループの日本法人です。サクソバンクグループは欧州、中近東、日本を含むアジア15カ国、全世界170カ国80万人以上のトレーダーに金融サービスを提供しているグルーバルプロバイダー。
日本でも10年以上に渡ってCFD取引を中心にサービスを提供しています。サクソバンク証券はARKXの現物が直接購入できる貴重な国内業者なので要チェック!
IG証券:【CFD取引】
IG証券もARK社のETFを取り扱いしている数少ない国内業者の1つです。残念ながらARKXは取り扱いしていませんが、ARKG、ARKF、ARKQの3銘柄をCFD取引にて対応しています。
上記の画像はIG証券の取引ツールでARKXの取引画面を開いた画像です。銘柄を表示することはできますが、取引ができない状況です。今後、取引ができるようになることに期待ですね。
IG証券はCFD銘柄の取扱数では国内トップクラスの業者です。米国個別株、ETF、株価指数、商品、FXなど総数17,000種類以上のCFD銘柄に対応しています。
ARK ETF以外にも個別株や株価指数を取引される方はIG証券もチェックしてみてください。
※アークETFはマーケットの状況次第では、取引が出きなくなる可能性、証拠金率の変更の可能性があります。
ARK社はARKX以外にも多彩なETFを運用しています。それぞれにテーマが決まっており、構成銘柄も異なります。
別記事でARK社の特徴や各ETFの構成銘柄を詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。