ここでは、ナスダック100の3倍レバレッジETFである「TQQQ」と、S&P500の3倍レバレッジETFの「SPXL」を徹底比較しています。
TQQQとSPXLはここ数年で素晴らしいパフォーマンスを発揮している米国のレバレッジETFです。2銘柄の値動きからリターンの比較、取引に対応した証券会社まで解説しているので、銘柄選びの参考としてご活用ください。
TQQQ、SPXLの2銘柄比較表
項目 | TQQQ | SPXL |
---|---|---|
銘柄 | プロシェアーズ ウルトラプロQQQ | ディレクション・デイリー S&P500ブル3倍ETF |
市場 | NASDAQ | NYSE ARCA |
設定日 | 2010年2月9日 | 2008年11月5日 |
ベンチマーク | NASDAQ100 | S&P500種株価指数(SPXT) |
株価 | 28ドル | 76ドル |
純資産額 | 1兆8,600億円 | 3,800億円 |
経費率 | 0.95% | 0.95% |
配当利回り | ー | 0.10% |
直近1年リターン | +106.55% | +95.40% |
現物/CFD取引対応 証券会社 | サクソバンク証券 | IG証券、サクソバンク証券、DMM 株、SBI証券、楽天証券、マネックス証券 |
※株価、純資産額は2023年5月1日時点の数値を掲載。
※直近1年リターンは2021年11月30日時点の数値を掲載。
TQQQ、SPXLを各項目で比較
まずTQQQとSPXLの株価の値動きから比較していきます。上記の画像は、2銘柄の値動きを同じ変動比率で比較した対数チャートです。
2020年3月のコロナショックでは米国、日本ともに株式市場が暴落しました。その際、TQQQとSPXLも大きく下落しています。
もっとも、TQQQはその後、急速に株価を回復。今ではコロナショック前の高値を大きく超えて最高値を更新し続けている状況です。
一方、SPXLはコロナショック前の水準に回復するまで約1年ほどかかっています。
上記は過去10年の値動きを比較したものです。単純な値動きで比較すればTQQQはSPXLと比べるまでもありません。
この差には、アフターコロナで家庭生活、企業活動ともにIT化が急速に進んだという背景があります。
家庭ではパソコンやタブレット、スマホなどのデバイス需要が増加、Eコマースや動画配信サービスなどのネットサービスが大きな伸びを見せました。
企業活動ではDX化(デジタルトランスフォーメーション)が進み、アマゾンのAWSやマイクロソフトのAzureなどクラウド市場が急速に拡大しています。
TQQQはこうしたコロナ特需の追い風を受けたハイテク関連の銘柄が高い構成比率で組み込まれています。この差がSPXLとの値動きの差になっている状況です。
TQQQ、SPXLを構成銘柄で比較
TQQQはNASDAQ100、SPXLはS&P500をベンチマークインデックスとするETFです。TQQQおよびSPXLの主要構成銘柄は以下の通りです。
TQQQ(NASDAQ100)の上位構成銘柄
ティッカー | 企業名 | 構成比率 |
---|---|---|
APPL | アップル | 11.02% |
MSFT | マイクロソフト | 9.98% |
AMZN | アマゾン | 7.83% |
TSLA | テスラ | 4.53% |
GOOG | アルファベット(クラスC) | 4.02% |
FB | フェイスブック(クラスA) | 3.81% |
GOOGL | アルファベット(クラスA) | 3.79% |
NVDA | エヌビディア | 3.71% |
PYPL | ペイパル | 2.19% |
ADBE | アドビ | 1.97% |
※引用:ProShares公式サイト(2021年9月30日時点)
SPXL(S&P500)の上位構成銘柄
ティッカー | 企業名 | 構成比率 |
---|---|---|
APPL | アップル | 6.11% |
MSFT | マイクロソフト | 5.80% |
AMZN | アマゾン | 3.92% |
FB | フェイスブック | 2.21% |
GOOGL | アルファベット(クラスA) | 2.20% |
GOOG | アルファベット(クラスC) | 2.06% |
TSLA | テスラ | 1.72% |
NVDA | エヌビディア | 1.41% |
BRK-B | バークシャーハサウェイ(クラスB) | 1.38% |
JPM | JPモルガンチェース | 1.34% |
※2021年9月30日時点のインデックスデータを掲載。
上位の構成銘柄はTQQQ、SPXLともにGAFAM(アップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック、アルファベット)+テスラの6銘柄です。
もっとも、構成比率が大きく異なります。TQQQはGAFAMの5銘柄で約40%、さらにテスラを加えて約45%がこの6銘柄に偏っています。TQQQに投資する=GAFAMとテスラを中心に投資するということですね。
一方、SPXLはGAFAMで約22%、テスラを加えても約24%ほどの構成比率です。これでも十分高い構成比率ではありますが、TQQQと比べれば他の銘柄にも分散が効いています。
GAFAMやテスラなどのハイテク株は景気敏感株といわれ、ボラティリティが高い銘柄です。上昇するときは特筆すべき上昇をみせ、下落するときも大きく下落します。
短期間で大きく利益を狙いたい方はTQQQがおすすめ。ハイテク銘柄に比重を置きつつ、より分散を効かせたい方はSPXLが最適です。
もっとも、TQQQもSPXLもベンチマークインデックスに対して3倍のレバレッジが効いたETFです。
レバレッジを効かせるため、債券やその他の金融商品が組み込まれています。日々の売買によっても構成比率は変動するため、最新情報は各ETFの公式サイトをご確認ください。
TQQQの構成銘柄(ProShares公式サイト:DAILY HOLIDINGS)
SPXLの構成銘柄(Direction公式サイト:Daily Fund Holdings)
TQQQ、SPXLのトータルリターンを比較
TQQQ | 1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
リターン率 | 4.82% | 8.90% | 59.04% | 106.55% | 85.74% | 73.84% | 60.22% |
市場価格 | 5.37% | 9.37% | 59.36% | 106.92% | 86.27% | 73.78% | 60.35% |
※表は11月30日時点の月末トータルリターンの数値を掲載。
※引用:ProShares公式サイト
SPXL | 3カ月 | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 設定来 |
---|---|---|---|---|---|---|
リターン率 | 2.21% | 95.40% | 42.14% | 39.59% | 39.00% | 30.28% |
市場価格 | 2.17% | 95.15% | 42.27% | 39.55% | 39.05% | 30.26% |
※引用:Direction公式サイト
上記はTQQQおよびSPXLのトータルリターンを一覧表にしたものです。
さきほど、TQQQとSPXLの単純な値動きを比較しましたが、実際のリターンで比較すると直近1年リターン以外、TQQQとSPXLの間にそれほどの差はないことが分かります。
これはレバレッジETFの特性が関係しています。
ベンチマークインデックスに対して1日あたりの変動率が約3倍
上昇トレンド継続でリターンは3倍以上に、下落トレンド継続で損失は3倍以上になる
レンジ相場が続く場合、複利効果でリターンが逓減していく
下落した場合、元の価格に戻すのに時間がかかる
レバレッジETFの注意点は「元の価格ではなく、前日の価格に対してレバレッジがかかる」という点です。
特に、ボラティリティが大きい銘柄ほど一度大きく下落した場合に価格を戻すのに下落幅よりも大きな上昇率が必要になります。
この特性から、TQQQのようにボラティリティが高く上昇と下落を繰り返す場合、実際のリターンは値動きほど良くはなりません。
逆に、SPXLのようにジリジリと上昇し続けるような銘柄はレバレッジETFの特性(複利効果)がプラスに働くためリターンが大きくなります。
CFD取引など買い/売りの両方で値動きを捉えられる方はTQQQのように値幅の大きい銘柄がおすすめ。
買いのみで取引したいという方はSPXLの方がおすすめ。もっとも、通常のETFと比較すれば2銘柄とも3倍レバレッジが効いているため資金管理、ポジション量には十分気をつけてお取引ください。
TQQQ、SPXLの純資産、経費率、配当利回り比較
項目 | 純資産額 | 経費率 | 配当利回り |
---|---|---|---|
TQQQ | 約1兆8,600億円 | 0.95% | – |
SPXL | 約3,800億円 | 0.95% | 0.10% |
TQQQとSPXLを純資産額で比較すると、TQQQは約1兆8,600億円、SPXLは約3,800億円と非常に大きな差があります。
TQQQはレバレッジETFの中でもトップクラスの資産規模を誇るETFです。流動性も高く資産規模の安定性で選ぶならTQQQがおすすめ。
経費率は2銘柄とも0.95%で同じですね。配当に関しては、SPXLが若干の配当を出しています。
もっとも、かなり低い利回りなので2銘柄ともに基本的にはキャピタルゲイン(値上がり益)を狙う銘柄になります。
別記事では、TQQQとSPXLを個別に詳しく解説しています。より詳細な情報をチェックしたい方はご一読ください。
TQQQ、SPXLに関するよくある質問
- TQQQ、SPXLはいくらから購入できますか?
TQQQの1枚あたりの基準価額は28ドルです。TQQQの現物は1単位(約4,000円)から取引できます。
SPXLの1枚あたりの基準価額は76ドルです。SPXLの現物は1単位(約10,000円)から取引できます。
※2023年5月1日時点の株価を掲載。
- TQQQ、SPXLを取り扱いしている証券会社はどこですか?
TQQQはサクソバンク証券にてCFD取引が可能です。
SPXLはサクソバンク証券、DMM 株、SBI証券、楽天証券、マネックス証券で現物の取り扱いがあります。
SPXLのCFD取引であれば、IG証券、サクソバンク証券が対応。ただし、サクソバンク証券は証拠金維持率が100%に変更されているため、実質的に現物取引と同じレバレッジ1倍になる点にご留意ください(※)。
※各証券会社の証拠金維持率は相場状況に応じて随時変更されます。
- TQQQ、SPXLの取引コストには何がありますか?
- TQQQおよびSPXLは米国の株式市場に上場しているETFです。したがって、米国株式と同じ取引コストが発生します。証券会社にもよりますが、基本的には取引手数料や為替手数料などです。CFD取引では、ポジションを翌日に持ち越す際に別途、オーバーナイト金利などが発生します。
TQQQ、SPXLの取引ができる証券会社を解説
次は、TQQQとSPXLの取引に対応した証券会社を解説していきます。証券会社選びの参考としてご活用ください。
サクソバンク証券
TQQQとSPXL両方のCFD取引に対応している証券会社がサクソバンク証券です。
サクソバンク証券は全世界170カ国80万人以上の顧客を抱えるサクソバンクグループの日本法人。多彩な海外ETFや個別株式に対応しているのが特徴です。
特に、TQQQは国内の大手ネット証券では取り扱いがありません。サクソバンク証券では現物取引が可能でしたが、2021年11月15日よりTQQQを含む一部ETFの新規購入が停止されました。
もっとも、TQQQのCFD取引は引き続き可能です。サクソバンク証券はTQQQ、SPXL、TECL、SOXL、CUREなど今、注目のレバレッジETFは一通り取引ができます。「TQQQに投資したい」という方はサクソバンク証券が要チェック!
IG証券
IG証券は国内トップクラスのCFD取扱銘柄数を誇る証券会社です。その総数は17,000種類以上、これだけの銘柄数を取り揃えているのはIG証券だけ。
各種レバレッジETF、米国株式、株価指数、商品、債券、外国為替までIG証券の口座があれば世界中の金融商品に投資が可能です。
もっとも、IG証券でも以前まではTQQQのCFD取引に対応していましたが、2021年3月より発注ができない状況です。いつからTQQQの取引が再開されるかは未定となっています。
一方、SPXLはCFD取引が可能です。その他にもTECLやWEBL、CUREなど豊富なレバレッジETFに対応しています。TQQQではありませんが、ナスダック100の2倍レバレッジETFである「QLD(プロシェアーズ ウルトラQQQ)」も取引が可能。
総取扱銘柄数では、IG証券の方が多いので「とにかく銘柄数の多い業者がいい」という方はIG証券がおすすめ!
以下のページではTQQQ、SPXL以外の注目のレバレッジETFを個別に特集しています。特に、半導体セクターの3倍レバレッジETFであるSOXLは要注目のETFです。
各レバレッジETFの特徴やパフォーマンス、取引ができる証券会社を詳しく解説しているので、気になる銘柄があれば、ぜひチェックしてみてください。
コメント
いつも参考にさせていただいています。
ところで、TQQQはIG証券でCFDで扱っていますよ。
ProShares UltraPro QQQ です。
QLDもあります。
プロシェアーズ・ウルトラQQQがそれです。
記事へのコメントありがとうございます。IG証券のTQQQに関して、現状では取引ができません。詳細に関しましてはTQQQの個別ページの方に記載しておりますのでご確認ください。
TQQQ個別ページはコチラです(https://tetori.jp/cfd/cfd_brand/tqqq/)
また、QLDにつきましてはIG証券で取引が可能です。QLDに関しても記事に掲載しておりますのでご確認ください。
お返事ありがとうございます。
確かに現時点(2021.7.20)では取引不可となっていることを確認しました。
以前、IG証券でTQQQを売買したことがあったので、その経験を元に書き込みをしてしまいました。
どうも失礼いたしました。